Soliloquy of Maynyannyan

A blog for musings ranging from more serious stuff (politics, cultural critique) to more fun stuff (short fantasy novels). Primarily in English and Japanese.

フェミニストに擬態した釣り垢について思う事

最近炎上してるフェミニストイッタラーのプロフィールや他のツイートを見るとフェミニズムにここ数年浸かってきた私からすると「明らかに釣り垢だろ」と思うようなアカウントが見受けられます。

フェミニストが言いそうなことをフェミニズムフェミニストをおそらく馬鹿にするために運用しているアカウントで、そのアカウント運営者が考える、沢山の人に批判されそうなフェミニストっぽいことをツイートして炎上させるアカウントです。

割と多くのリーチ数があった事例だと、えっちなアニメ風の絵画で賞を取ったアーティストに対して、フェミニズムを諭していたアカウントですね。あれも、私はプロフィールや他のツイートを読んで流石にこれは釣り垢だよなと思い、釣り垢認定ツイートを自身のアカウントからしました。

個々の事例から分かるのは、釣り垢っぽいフェミニストアカウントはどれも「擬態」が下手くそなことです。長年フェミニズムの世界に浸かっていると、確かに過激な意見を持ったフェミニストにも出会います。

しかし、どの過激派フェミニストも社会の荒波(社会規範)を相手にしてきた猛者として、物凄いオーラと貫禄、そして様々なフェミニスト間で起きる議論にも精通しており、過激なフェミニストであればあるほど、実はめちゃくちゃ色んな思想に詳しかったりします。それが私が釣り垢だと思ってるアカウントから伝わってこないです。

そして、どのアカウントもおそらく炎上目的で論理が破綻してるフェミニストや、行きすぎた意見を言うフェミニスト的なツイートをするのですが、どこか空虚であり、滑稽に見えて、フェミニストを叩くための藁人形に自ら成っているのだなぁと私は感じます。

この胡散臭さというか、擬態の上手い下手の判定はリアル、ネット、論文、ブログ、雑誌、アートなど様々な媒体を通して様々な種類のフェミニストのサンプルを大量に摂取して来たから直感的に感じるものでもあり、一部の擬態判定理由はしっかりと言語化出来るものでもあります。

私がそうしたアカウントを釣り垢だと発言することにはある程度の葛藤があってしてることです。

まず一つ目に、「本当にフェミニストだったらどうしよう」という葛藤です。もし本当にフェミニストなら、炎上してクソリプの通知が止まらない中、更に「リアルツイフェミ」をユーモアを交えつつも名乗るアカウントに偽物認定をされているわけです。私がフェミニスト認定の権限を振り翳して良いものか、と思うわけです。

それに対抗する形で持っている意見として、「本当にこのアカウントが本物のフェミニストだと思われた嫌だ」という、真偽を見分けるネットリテラシーを養ったり、本物のフェミニズムとは何か知ってもらいたいという、個人的な考えです。仮に本物の人間の本当に信じている意見だとしても、フェミニズムの評判を下げるような事をするなら、偽物だ!と呼びたい防衛反応なのかもしれません。

例えば、フェミニストを名乗っているけれど、トランスジェンダー差別をする人の事を私はフェミニストだと思っていません。フェミニズムにも思想の幅があるものの、ジェンダー規範に苦しめられている人を差別するのは、正にその反対をしようとしているフェミニズムとは相入れません。

もう一つ私が釣り垢だと思ったら釣り垢だ!と発言する理由に、個々のツイート内容とその裏の意図に不満があるからです。

つい先日釣り垢認定をしたアカウントは、恵方巻きが男性器に見えて吐き気がするので、小売店は商品の並べ方に女性の意見も取り入れて欲しい、との内容のツイートでプチ炎上していました。

これには何層かの問題があります。まず、このツイート内容に対する直接的な反応として、女性の意見は多様なので、女性の意見を取り入れても指摘している並べ方は変わらないかもしれません、と言う事があります。

もう少しメタ的な視点の反応もありす。仮にこうした意見を持っている人がいるとします。吐き気がする程の拒絶反応を抱えているのであれば、相当なトラウマを抱えているのかもしれません。ただ、実際にこうしたトラウマを抱えている人は、自己嫌悪や周りからの非難の恐れから、鍵もかけないアカウントでネットの海に自分の最も攻撃を受けたら痛い部分を晒す人は少ないよなぁ…という印象を持っています。所謂セカンドレイプが酷い現状、性的暴力被害者は声を上げると酷い攻撃をネットやリアルで受けます。既にそんな感じで声を上げる事が難しいのに、釣り垢を使って、トラウマに苦しむ人が感じるかもしれないような意見を、そうした意見を持つ人をこき下ろすために発言するってことは、余計にトラウマを持つ人が生きにくい社会の助長をします。

私も「差別は絶対にいけない」などの大前提をしっかり共有出来ているコンテキストにおいて、差別主義者を嘲笑う意図のシニカルユーモアは大好きです。例えば2000年代に放映されていたイギリスのLittle BritainやThe Catherine Tate Showとかですね。

でも、アメリカに留学してこの番組の一部をルームメイトに見せたら、あまり気に入って貰えませんでした。理由として、アメリカや私のルームメイトが生きてきた環境においては、「差別は絶対にいけない」という前提が共有されていないので、こうしたシニカルユーモアをそのまんま受け取って、差別主義者的に同じ番組を楽しむかもしれないからです。

イギリスで差別が無いわけではないですし、最近の極右政党などの台頭で、2000年代程リベラルな反差別的価値観が脅かされてるから、2000年代の番組が同じようには楽しめないかもしれない、とイギリス人のリベラル系アルファツイッタラーが呟いていました。

なので、仮に今回例に挙げている釣り垢を「差別主義者を笑うために大袈裟な藁人形フェミニストを演じる」と捉えて、そうしたエンタメコンテンツとして楽しむためには、日本語話者のTwitter界隈や、リアルの社会でフェミニストを始めとする反差別主義がもっと尊重されて、もっと浸透している必要があります。

シニカル反差別ユーモアが好きな自分としても、釣り垢認定をしたり、ここまでマジレスするのも個人的な葛藤が少しはありました。ただ、釣り垢だと私が思うようなアカウントの炎上ツイートを見て、だからツイフェミはヤバいとか、フェミニストはヤバいみたいな事を釣り垢だと思っていなくてガッツリ藁人形論法しているアカウントを多々見受けるので、ネットリテラシー向上の為にも本物のツイ(ッターに住んでいる)フェミ(ニスト)としてなんかものを申したい!と思うわけです。

長くなりましたが、今後も私はこうした注意喚起をして、少しでもTwitter民のネットリテラシー向上に貢献出来たらな、と思います。もちろん釣り垢だと私が思ったアカウントのツイートが炎上したら「釣り垢🎣」っていう引用リツイートをするのもそうですが、本物のフェミニストってこんな感じの人なんだな〜とか、釣り垢だと思う根拠はそういう理由なんだな〜とか思って貰えるような発信をしていきたいです。フェミニズムの顔に泥を塗られるのは慣れっこですが、フェミニズム的思想に迎合していない方々も、釣り垢に騙されて炎上マーケティングに参加するのは癪に感じる方もいらっしゃると思いますので。

また、今度何かあったら投稿します。質問、批判、誹謗中傷はどうぞコメント欄やTwitterでお願いします。前述した通り、色んな葛藤もありますし、私も私の事が絶対に正しいだなんて全く思っていないので。